PTA役員・委員になると、子どもが喜んでくれる、というメリットがあるらしいです。うちのPTA役員・委員紹介の中に、おすすめメリットとして書いてありました。
なぜ、子どもが喜んでくれるのかというと、PTA役員・委員になると、学校へ行く機会が増え、必然的に、子どもに会う機会も増えるからだそうです。普段は学校で会うことのできない親に会えると、子どもにとって、ちょっとしたハッピーになります。ということなのだそうですが……。はたして、そうなのでしょうか。
今回は、××年前に、PTA役員・委員を親に持っていた、私の気持ちを書いてみたいと思います。
なぜ母は、PTA役員・委員になったのか
私の母は私が小学生の頃、クラス委員・広報委員・PTA副会長をしていました。毎年毎年、何らかのPTAの役員・委員に携わっており、何の役員・委員にならずに、ただのPTA会員だったのは、私が6年生だったときの、たったの1年でした。
はっきりいって、子どもながらに、PTA役員・委員というものは、大変で面倒くさいものだと感じていましたし、そんな大変で面倒くさいPTA役員・委員を、どうして母が毎年のように引き受けているのか、疑問でした。
母に「なぜ、毎年PTAの役員・委員をしているのか」と、単刀直入に聞いたこともあります。母の答えは「なる人が他にいなくて」とか「先生にどうしてもとお願いされて」とかでした。
今ならわかるのですが、「なる人が他にいなくて」とか「先生にどうしてもとお願いされて」とかで、どうして、私の母がPTAの役員や委員を務めなくてはならないのか、当時の私には全くわかりませんでした。
学校で母に会えることは、別に嬉しいことではない
他にも母親はたくさんいるのに、よりにもよって、どうして私の母がやらないといけないのか、どうして先生は私の母に頼むのか、私には全くわかりませんでしたし、はっきり言って、PTA役員・委員で忙しそうにしている母よりも、私にだけ構ってくれる母の方が好きでした。
たとえ、母と学校で会うことができたとしても、その思いは変わりませんでした。
なぜならば、私にとって、普通は学校にいるはずのない母親が、学校にいることは恥ずかしいことであり、友だちにからかわれる理由であったからです。
母親がPTA役員でいることで、友だちから「お前のかーちゃんがPTAだからって、えらぶるな」とか何とか言われたこともあります。もちろん、えらぶっていたつもりはありませんでしたが、子どもの世界にとって、何か他の子どもと「違う」ところは、からかいの対象となるのです。それがたとえ、自分自身のことではなく、自分の母親との「違う」ところであったとしてもです。
そんなことから、私は母が、PTA役員や委員をすることに、あまりいい思いを抱いてはいませんでした。
母にPTA役員・委員でいてほしい、と思った瞬間
母のPTA役員・委員には、あまりいい思いを抱いていなかった私ですが、一度だけ、母にPTA役員・委員でいてほしい、と思った瞬間があります。
それは、私が6年生のとき。つまり、母がPTA役員・委員を辞めた後のことでした。
母がPTA役員・委員を断ることができた年、私はいじめに遭ってしまったのです。母がPTA役員・委員を辞めたことと、私がいじめに遭ったことには何も関係がありませんでしたが、子どもながらに、一つだけ思ったことがあります。
それは、もしも、母がPTA役員・委員を辞めていなければ、先生はもっと私の味方になってくれたのではないか、ということです。私がいじめられていたとき、先生は何も助けてはくれなかったのです。
それまで、PTA役員・委員に否定的だった私も、そのときばかりは、母にPTA役員・委員に戻ってほしいと思いました。
決して、母が先生に、何も言ってくれなかったわけではありません。ただ単に、子どもながらに、ただのPTA会員である母よりも、PTA役員・委員であった母の方が、先生も話をきちんと聞いてくれたのではないか、と思ったのです。
ですが、大人になった今は、違うことを考えます。
それまで5年もの間、PTA役員・委員を務めてきた母の話を、なぜ先生はもっとちゃんと聞いてくれなかったのか、と。なぜ母がPTA役員・委員を辞めたとたんに、先生は、私に冷たくなったのだろう、と。それのどこが、5年もの間、先生からの「どうしても」というお願いを聞いてきた母への、応え方なのだろうか、と。
大人になった今では、そう考えます。
先生も人間ですからね。きっと、そんなこともあるのでしょう。
最後に
さて、ここまで、PTA役員・委員を持つ子どもの気持ちについて、考えてみましたが、よくよく思い出してみても、あまりいい思い出はありませんでしたね。
あくまでも、私の子どもの頃の話ですし、親がPTA役員・委員であったことで、何かいい思いをした子どもたちも、確かにいると思います。
ですが、PTA役員・委員になると、子どもが喜ぶ、というメリットは、おまけ程度に考えるならまだしも、第一のメリットとして挙げるのは、やめておいた方が無難かもしれませんね。